【中国の憲法・国家制度・国家構造】


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Q1 中国の最高法規である中国憲法について教えてください。
  どのような国家制度がデザインされていますか?

A1 中国では、1982年の現行憲法に基づき、国家統治原理として三権分立主義を採らず、「国家主席、国務院、中央軍事委員会、最高人民法院、最高人民検察院などの国家機関はいずれも全国人民代表大会によって選出され、全国人民代表大会とその常務委員会に対し責任を負う」という人民代表大会制度および「民主集中制」を採っています。今回は、国家構造を支える基本原則を説明し、各機関間の関係を分析したいと思います。
中国では人民代表大会制度および「民主集中制」を採っているんだって。今回は、中国の国家構造を支える基本原則を説明し、民主集中制と三権分立制、人民代表大会制と議会制を比較したうえで、中国の国家構造を概観し、各機関間の関係を分析したいと思います。



Q2 中国の憲法は、頻繁に制定、改正されていると聞きます。
  どのような変遷を遂げてきているのでしょうか?

A2 中華人民共和国が成立した1949年から現在に至るまで、1949年の中華人民政治協商会議共同綱領(臨時憲法の役割を果たした)、1954年憲法、1975年憲法、1978年憲法および1982年憲法が制定されています。そんなに憲法ってあるの?!現行憲法としては、4回にわたり一部の条項に改正されています。
そして、現行憲法としての1982年憲法は、1988年、1993年、1999年及び2004年の4回にわたり一部の条項に改正がなされています。






Q3 それでは、1949年に制定された「共同綱領」について教えてください。
  これは憲法と名前が付いていませんが。。。

A3 はい、1949年「共同綱領」ですね。 中華人民共和国成立前1949年9月に公布された臨時憲法である『中国人民政治協商会議共同綱領』です。
「共同綱領」ってなあに?
「共同綱領」は、新民主主義という歴史的段階を定め、中華人民共和国の国家の性質(「中華人民共和国は新民主主義、すなわち人民民主主義の国家であり、労働者階級が指導し、労農同盟を基礎とする」、つまりプロレタリアートの指導のもとでの人民国家の性質や経済体制、国民の権利義務などを規定しています。民主独裁)、経済体制(「労働者、農民、小ブルジョワジー、民族ブルジョワジーの経済利益及びその私有財産を保護する」、いわゆる混合経済体制・私有財産の容認)及び国民の権利義務などを規定しています。





Q4 1954年憲法について教えてください。

A4 1954年9月15日、第1期全国人民代表大会第1回会議が開かれ、新中国最初の「憲法」(1954年憲法といわれる)を審議、可決しました。国家の性質や構造が規定されました。
この憲法は、中国が新民主主義から社会主義へ至る歴史的な道のりを定め、中国人民の民主政治と人民の民主的法制度を築く新しいステップを示し、国家の性質(「中華人民共和国は労働者階級が指導し、労働者と農民を基礎とする人民民主主義国家である」)、国家の構造(「中華人民共和国のいっさいの権力は人民に属する。人民が権力を行使する機関は全国人民代表大会と各段階の地方人民代表大会である。全国人民代表大会、各段階の地方人民代表大会、およびその他の国家機関は一律に民主集中制を実行する。」)などを規定しました。 1954年に憲法が可決されたんだって。



Q5 1975年憲法について教えてください。

A5 1960年代後半から始まった文化大革命によって、憲法を含む法制度全体が破壊されました。54年憲法は全面改訂され、条文を30条に圧縮し、文化大革命の「四人組」が主導した1975年憲法が制定されました。
この憲法は、毛沢東の個人崇拝の影響を受け、「政策の優位」、「人治は要るが法治は不要」などを基本的指針としていたものです。先の憲法は全面的に改訂されました。1975年の憲法は??



Q6 1978年の憲法について教えてください。

A6 文化大革命が終わった後、1978年3月5日に新しい憲法が採択されました。1978年の憲法は???お手上げっ!
文化大革命後の新しい憲法です。この1978年憲法は1975年憲法の構成を踏襲し、序言、全4章からなり、全60条ですが、文革路線から離脱し、「四つの現代化(20世紀中に農業・工業・国防・科学技術を現代化し社会主義強国を築きあげること)」を目指して「民主と法制」を再構築すると定められました。




Q7 1982年の現行憲法について教えてください。

A7 1978年以降の改革開放にしたがって、文化大革命や計画経済体制の強い影響を受けた1978年憲法が改正され、1982年12月4日に、現行憲法が採択されました。序言、全4章、138条で構成されています。1982年に現行憲法が採択されたんでしょ?!
新憲法前文は憲法を「国家の根本法」と明記し、社会主義の初期段階論と主張し、共産党を含むいかなる組織または個人も憲法と法律を超越した特権をもつことはできないとして、中国が法治国家への道を歩むことを明らかにしました。
また、現在に至るまで、下記4回の改正が行われました。

1988年:1982年憲法を部分改正し、87年中共13回全大会で確認された「土地使用権の譲渡」と「私営経済の存在と発展」を認めただけでなく、「計画経済」の建前を維持しながら、「商品経済」と「市その通り!よくできました。場の役割」を重視する方向転換。

1993年:改革開放の浸透や私営経済の著しい発展により、憲法を部分改正し「社会主義市場経済」体制を憲法が盛り込まれる。

1999年:憲法を部分改正し、中国の社会主義初級段階が今後長期間続くこと、鄧小平理論を指導思想とすること、社会主義市場経済を発展させること、「社会主義法治国家」を建設することなどを規定。

2004年:私有財産権の不可侵を宣言し、「三つの代表」の思想が憲法に盛り込まれる。



Q8 中国憲法の構成について教えてください。

A8 現行憲法は前文のほか、総則、国民の基本的な権利と義務、国家機構、国旗、国章、首都の4章に分かれ、計138条から構成されています。ところで憲法の構成はどうにゃってるの?138条から構成されているよ。



Q9 中国の社会主義制度は、憲法でどのように定められているのでしょうか?

A9 中国の憲法は、中国を「労働者階級が指導し、労働者・農民の同盟を基礎とする人民民主主義独裁の社会主義国家である」と認め、社会主義制度を中国の根本制度とし、その制度を破壊することはすべて禁止される(1条)としています。中国の社会主義制度って・・・こっそり教えますね。
そして、その社会主義制度の基礎として、中国は生産手段の社会主義的公有制、すなわち全人民的所有制および勤労大衆による集団所有制であることを宣言しています(6条)。

また、「中国のすべての権利は人民に属する。人民が国の権利を行使する機関は全国人民代表大会と地方各級人民代表大会である。人民はさまざまなやり方と形態によって、国家、経済、文化、社会事務を管理する。」と定めています。



Q10 中国の政治制度「民主集中制」は、憲法でどのように定められているのでしょうか?

A10 中国の国家機関は、中国国家制度の根本原則である「民主集中制」原則に基づいて民主集中制には原則がありまーす。構成されています。その原則の内容は以下の通りです。

第一、全国人代及び地方各級人代は、すべて民主的な選挙によって選出されたもので、人民に責任を負い、人民の監督を受ける。
第二、国家の行政機関・裁判機関及び検察機関は、いずれも人代で選出され、人代に責任を負い、その監督を受ける。
第三、中央と地方の国家機構の職権の区分は、中央の統一的指導の下に、地方の自主性及び積極性を十分に発揮させるという原則に従う。(憲法第3条)

このような制度は、中国の国家機構体系の基礎をなしています。このような人代制度は、中国の根本的な政治制度として、中国の人民民主独裁の政権組織形態であり、中国の国家機構体系の基礎をなしています。人代制度に基づき、人代が統一的に国家権力を行使するという前提の下に、国家の行政権・裁判権・検察権及び軍事権について、明確に区分がなされ、国家の権力機関である人代が行政・裁判・検察等の国家機関を統括して一体となって活動できるようになっています。



Q11 中国の経済制度「社会主義的市場経済制」については、憲法でどのように定められている
   のでしょうか?

A11 経済制度については、中国は社会主義国家であることから、全人民所有制および集団所有制という「社会主義公有制を基礎とする経済制度」が採用されています。社会主義公有制とは、生産手段(土地、天然資源、生産設備など)を公有(国有または集団所有)にするという制度です。社会主義的市場経済制??

例えば、中国では土地の私有が一切認められません。一方、法律が定める範囲内の個人経済、私営経済などの非公有制経済は、社会主義的市場経済の重要な構成部分であると認められています(11条)。

例えば、こんなことが定められています。そして、社会主義の公共財産を神聖にして不可侵であるものとして保護し、いかなる組織ないし個人も、いかなる手段によっても、国や集団の財産を不法占拠ないし破壊することを禁止すると定められました(12条)。国民私人の合法的私有財産は侵されないこと、国は法律の規定にもとづき、国民の私有財産権および相続権を保護することなどを規定しています(13条)。



Q12 憲法は、国家機関にどのようなものを定めているのでしょうか?

A12 中国のすべての権力は人民に属しています。人民が国家権力を行使する機関は全国人代及び地方各級人代です。国家機関の関係は~♪下図のようになっています~♪
下図のように、中国の中央国家機構は、国家権力機関及び立法機関である「全国人代」及びその常設機関としての常務委員会(日本の衆議院と参議院に相当する)、行政機関である「国務院(中央政府)」(日本の内閣に相当する)、裁判機関である「最高法院」(日本の最高裁判所に相当する)、法律監督機関である「最高検察院」、国家元首である「国家主席」、軍事機関である「中央軍事委員会」からなります(憲法第2・57・81・85・93・123・129条)。
中国における各国家機関及びその関係



Q13 立法機関の人代およびその常委会について教えてください。

A13 全国人代の会議は普通一年に一回、会期は年にわずか十五日ほどで非常に短いです。しかも、代表数も多く約3000人です。このように人代の活動が物理的に制限されて、緊急で重要な決定をできなくなっているため、その常設機関として常委会が設立されています。

全国人代常委会は全国人代の常設機関であり、全国人代の閉幕期間に国家の最高権力を恒常的に行使し、全国人代に責任を負い、その活動を報告します(憲法第69条)。全国人代の会期は短くていいね~
全国人代常委会は、全国人代で互選された委員長一名、副委員長若干名、秘書長一名、100~200名の常務委員から構成され、原則として2ヶ月に一回開催されます。県級以上の地方人代常委会は、同級の人代において代表から主任一名、副委主任若干名、秘書長一名(県級には秘書長を設けない)及び委員若干名を選挙し、構成されます。常委会会議は、主任が招集し、少なくとも2ヶ月に一回開催されます。

人代常委会は、人代を離れて独立的に存在する機関ではなく、同級の人代に対して責任を負い、その活動を報告します。つまり、常委会は人代の構成部分であり、人代に従属し、その指導と監督を受けます。 人代の活動が制限されるので、常委会が設立されています。



Q14 国家元首について教えてください。

A14 国家主席の毎回の任期は五年で、連続任期は二回を越えてはなりません。

もとくび?任期は5年です。

国家主席は、法律の公布、命令の発布などの対内的職権、外国使節の受け入れ、外国駐在全権代表の派遣・ 召還、外国と締結した条約と重要協定の批准・廃棄などの対外的職権を有しています。



Q15 行政機関について教えてください。

A15 中国の行政機関は中央政府としての国務院と地方各レベルの行政機関を含んでいます。国務院は日本の内閣に相当します。

中国の国務院は、最高の国家権力執行機関、最高の行政機関です。日本の内閣に相当します。権力機関としての全国人民代表大会に対して責任を負うとともにその活動を報告します。行政の責任を背負ってみました。



Q16 司法機関について教えてください。

A16 中国の「司法機関」は裁判機関としての人民法院と検察機関としての人民検察院を含んでいます。人民法院システムには、最高人民法院、地方各クラス人民法院および軍事法院などの専門人民法院があります。日本の最高裁に相当する最高人民法院は、国家の最高司法機関であり、裁判権を行使します。最高人民法院は日本の最高裁に相当します。中国の司法機関には人民法院と人民検察院が含まれてるんだって。
人民検察院システムには、最高人民検察院、地方各クラス人民検察院および軍事検察院などの専門人民検察院があります。人民検察院は、国家の法律監督機関であり、犯罪事実を審査して告発し、起訴するまた法規違反を調査・捜査し立証します。



Q17 軍事機関について教えてください。

A17 中央軍事委員会は全国の武装力を指導し、中央軍事委員会は全国武装力の最高軍事統率機構です。国家中央軍事委員会主席の指名により、全国人民代表大会は中央軍事委員会のその他の構成メンバーの人選を決定します。中央軍事委員会は全国武装力の最高軍事統率機構です。
全国人民代表大会常務委員会は全国人民代表大会の閉会期間において、中央軍事委員会の指名により、中央軍事委員会のその他の構成メンバーの人選を決めます。国家中央軍事委員会主席は全国人民代表大会と全国人民代表大会常務委員会に責任を負います。 私の武装力はどうかにゃ?



Q18 地方の国家機関について教えてください。

A18 中央集権制を実施する中国での地方の国家機関は、基本的に省級、地級、県級、郷級の4つのレベルに分けられます(憲法第30条)。

地方人代は、地方における人民が主権を行使する権力機関として位置付けられ、省級、地級、県級、郷級に存在します。省・自治区・直轄市には省級人代、地級市・自治州には地級市人代、県・自治県・県級市・県及び市が管轄する区には県級人代、郷・民族郷・鎮には郷級人代、県級以上の地方各級人代には常務委員会が置かれます。
地方の国家機関は~?
地方各級人代及びその常委会は、その行政区域内において、憲法・法律・行政法規の遵守と執行を保証し、法律の定める権限に従い、決議を採択・公布し、地方の経済建設・文化建設・公共事業建設についての計画を審査・決定します。基本的に4つのレベルに分けられます。

全国人代及びその常委会は国の最高権力機関であり、地方各級人代及びその常委会は地方における国の権力機関です。